☀時々☁
ナビの調子が悪いので修理に出すことになり、駐車場でディーラーに行く準備をしてたら通りかかった姐さんに捕まった。
「あら、車変えたのかい?」
「あ、はい。もう大きいのはいらないんで」
「ふーん、たしかにちっちゃいなあ」言いつつ横に回って
「何だかチョコレートで作ったみたいだねえ」
つやつやしてる、ってことらしい。
「ちょっと乗ってみますか」
「出かけるんじゃなかったのかい」
「まだ時間ありますから」
てんでオープンにして近所の農道を2kmほどひと回りした。逆巻く風の中、目を細めながら姐さんが声を張り上げる。
「こりゃあ清々するねえ!」
亡くなった旦那が牧師でエラン乗りだった姐さんは芸妓でクリスチャンだ。それが来週入院するってことで一生に一度くらいならサンタマリアに祈るのもいいかな、そう思いながらスロットルを開けた。